働き方改革取り組み事例一覧
人材育成・評価
福寿園では、経済連携協定(EPA)に基づき外国人介護福祉士候補者の受け入れを積極的に行っています。介護業界における人材不足への対策として、将来に向けた人材の育成を見据えての方針で、約9年前から受け入れを始めました。もちろん、外国人を会社に招き入れるためにはそれなりの準備が必要です。文化の違い、言語の壁、他の従業員や入居者の反応など、外国人ならではの課題が生まれるからです。手探り状態の中でも、働きながら国家試験の合格を目指す外国人の雇用体制や教育制度を整えています。
一定水準の人材にするため施設内講師で日本語と介護の教育を
外国人候補者とは、雇用契約を結んだ上で介護の研修を重ねていきます。ただし、常務理事の古田さんは「日本人と同じ感覚で気軽に現場に入れると、当然うまくいかないことが出てくる。それでは介護業界全体の質を下げることにもつながりかねない」と語ります。だからこそ、受け入れるからにはそれ相応の教育が必要だという考えのもと、制度を築いていきました。
まず大切にしているのが、受け入れる前に日本における介護の概念をしっかり伝えること。国によって、そもそも「介護」への考え方が異なるのです。その上で、介護職への思いの強さや、適性を見極めて受け入れを決定します。従業員として採用後も、すぐに施設で仕事をするのではなく、母国で半年間、日本で半年間の計1年を語学と介護の勉強に充てて、初めて現場に出ることになります。その時点ではもちろんまだ日本語も完璧ではないし、国家資格も必要な業界なので、施設での仕事の傍らで勉強することになります。それを支えるのが、福寿園に所属する講師。日本語だけ、介護だけではなく、介護の専門知識と日本語を同時に教えられる講師を、内部スタッフとして抱えておくことを重視しています。
EPAでは、待遇をはじめ日本人と同等以上という取り決めがありますが、福寿園では、外国人はそもそもスタートラインが違うという前提に立っています。公正さというのは、「同じ教育をする」ことではなく、いち従業員として必要な水準に達するように教育することだという考え方。そして、雇う相手と施設の利用者に対する責任感が、こうした取り組みにつながっているのでしょう。
福寿園 常務理事 古田 周作さん
工夫を重ねて外国人を受け入れた成果は、様々なところに表れています。まず、もともと明るい気質のフィリピン人やベトナム人は、職場全体に活気をもたらしたそうです。また、言語や文化の違いなどのハンディを抱えている分、自然と助け合う空気が生まれ、従業員の仲間意識が強くなりました。さらに、教育制度の見直しを重ねた成果もあり、外国人の研修生や従業員自身からも、「このままずっと日本で働きたい」という声が多く出ています。
施設の入居者側に、「外国人にお世話してもらうことへの不安」が生まれるのではないかという懸念も、杞憂だったとのこと。むしろ、明るくオープンな外国人が増えたことは、入居者からも特に喜ばれているそうです。将来に向けた人材育成のために始めた外国人研修生の受け入れですが、結果的に介護施設としての質の向上にもプラスになっているようです。
福寿園 総務部グローバル人財課 山本 久恵さん
外国人候補者の受け入れは、看護師・介護福祉士の国家資格を取得することを目的として、一定期間(介護の場合4年)就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事するものです。受け入れ施設は、雇用契約を結んだ上で国家資格の取得を目標とした適切な研修を実施します。また、日本人と同等以上の報酬の支払いの必要があるほか、日本の労働関係法令や社会・労働保険が適用されます。国家資格取得後は、看護師・介護福祉士として滞在・就労が可能になります。
第5回(平成29年度) はたらく人がイキイキ輝く事業所表彰
主な事業 | 福祉・介護事業 |
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所 在 地 | 豊田市本町本竜48(他3施設) |
T E L | 0565-51-0880(ひまわりの街) |
H P | http://www.fukujuen.or.jp/ |