働き方改革取り組み事例一覧
多様な人材
善都は、特に店舗において女性従業員を多く抱える企業です。将来的な人材の有効活用を考えたときに、女性のキャリアアップは重要となります。しかし、以前の善都は役職者が男性中心で、女性が昇進していく風潮があまりありませんでした。
そこで、女性も男性と同じようにキャリアを重ねていってもらいたいという狙いで導入したのが「カウンターリーダー」という新たな職位です。もともと女性は店舗でカウンター業務を担当している従業員が多く、そこからより広範囲を統括する「主任」の役職になるのはハードルが高いという現実がありました。そこで、まずはよくわかっているカウンターを取り仕切るリーダーならやりやすいだろうという意図で新設したそうです。 カウンターリーダーは固定的な役職ではなく、店長の判断と本人の意思に基づいて、1年という期限付きで任命されます。必ずしも全員に昇進を目指してほしいということではなく、自分の次のキャリアを考えていくきっかけとして、あるいはさらに上の役職者となるためのクッションとして、経験を積んでもらうための職位なのです。
カウンターリーダーを任されるにあたって、多くの従業員はやはり初めは不安も大きいようです。うまくみんなをまとめられるか、役職者との橋渡しとしてやっていけるか……。そして実際にやってみて、誰しも「大変だった」が第一声だそうです。新しい役職ということもあり、周りからリーダーとしての立場に理解をしてもらう苦労もあるそうです。それでも、そうした大変な経験を従業員の方々が積むことで、しっかり成果が出ています。カウンター従業員のうちは「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」を中心に考えていても、リーダーという立場を経ることで、そこから一歩進んで「どうしたらより利益が出るか」といった目線を加えることができるようになる人もいるとのこと。そして、そこに仕事の楽しさを見出して、「またカウンターリーダーをやりたい」という声も出ているそうです。
営業部広報・賞品課の中尾さんは、会社として女性も男性と同じようにやっていかなければならないし、ご自身も男性に負けないように、という思いで、現在は副主任として働いています。同じ女性という立場から見ても、カウンターリーダーを経験する同僚や後輩の方々を見て、いい効果が出ていると感じているそうです。「カウンターリーダーという制度ができたことで、女性でも上を目指す糸口になった」とお話ししてくださいました。そして、カウンターリーダーを取り入れて以降、アルバイトを含めて女性全体の離職率が低下傾向にあるとのこと。
上を目指す道筋があることで、働き続ける不安が払拭されたり、やりがいにつながっていくということなのでしょう。従業員が将来のビジョンを描けるということが、人材確保には重要であると、改めて感じさせられる事例です。
株式会社善都 副主任 中尾 ゆかりさん
人事部人事課長の佐藤さんは、男性でも女性でも、「先のキャリアに様々な選択肢を持てること」の大切さを訴えます。「女性だからカウンター」「男性だから役職を目指す」ではなく、それぞれが視野を広げて、色々な働き方を考えほしいと語ってくださいました。カウンターリーダーは主に女性従業員が幅広くキャリアを考えていくきっかけとして取り入れた仕組みですが、これも女性に限ったことではなく、男性がカウンターリーダーを務めている実績もあるそうです。ダイバーシティの時代にあって、男性・女性の壁を超えて、同じように活躍する機会を与えるためには、それぞれの状況に見合った仕組みが必要だということです。
第5回(平成29年度) はたらく人がイキイキ輝く事業所表彰
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